最近、クルマの盗難に関するニュースを目にすることが多くなったという気がしませんか?
盗難は昔からあることだし、クルマのハイテク化はどんどん進んでセキュリティシステムも向上しているはずなのになんで、と思う方も多いでしょう。実際のところどうなのか調べてみましょう。
自動車盗難の現状
実はクルマの盗難件数自体は減少傾向になってます。STOP THE 自動車盗難という官民合同プロジェクトチームのサイトによると、近年では2013年をピークに毎年減少しています。
ここで注目したいのは、キーあり盗難(キーを付けたままの状態で盗難される)の減少に比べてキーなし盗難(キーを抜いた状態で盗難される)の減少が緩いことです。つまり不注意でキーを指したまま、誰でも運転できる状態での盗難は減っているのに、キーを抜いているにも関わらず盗難されるクルマの割合は増えているのです。つまり盗難そのものもハイテク化していることを示しているように思われます。完全な駐車状態で盗まれるって怖いですよね。
また、同サイトによると特に狙われる車種は以下の通りだそうです。
1 | トヨタ | ランドクルーザー |
2 | トヨタ | プリウス |
3 | トヨタ | レクサスLX |
4 | トヨタ | アルファード |
5 | トヨタ | ハイエース |
トヨタのクルマが並ぶのは、人気もさることながら、売れているので対象となるクルマが多く、盗難の機会も増えると考えられます。
また都道府県別では上位は以下です。
1 | 千葉 |
2 | 愛知 |
3 | 茨城 |
4 | 大阪 |
5 | 埼玉 |
ある程度は人口の多い場所が並んでいますが、必ずしも人口の多い順ではないので、何かしら盗難の発生し易いし難い条件が違いそうです。
盗難の手口
では、どのように盗難が行われるのか、盗難の手口を見ていきましょう。
まず、ドアを開ける、エンジンを掛ける、クルマを移動する、という段階があります。
ドアを開けるには、窓の隙間から器具を差し入れてロックを解除する方法や、窓を破壊する方法もあります。盗難したクルマはそのままで売るとは限らず、バラして部品で売ったり、他の盗難車と合わせて組み替えて売ったりする(いわゆるニコイチ)そうなので、多少手荒なことも厭わないようです。
また、最近はスマートアタックというハイテクな手口も発生しています。これは近年流行っているキーレスシステムを悪用したもので、所有者のキーから発する微弱な電波を捉えて、これを使ってあたかもキーを持っているように電波を発してロック解除と始動を行うものです。
それのより高度なコードクラバー、専門業者しか持てないはずの工具であるイモビカッターなど、クルマのセキュリティー進化に合わせて手口もハイテク化しているそうです。これらのハイテク技術を使えばドアロックの解除やエンジン始動は容易いですし、乱暴にドアを開けた場合もステアリングロックを破壊して直結でエンジン始動するなど、様々な手法でエンジンを掛けられてしまいます。
酷い場合はエンジンを掛けなくてもレッカー等で牽引してしまう場合もあるそうです。
窃盗犯たちはキーを抜いてドアロックしても、ものともしないということですね。
盗難に対する対応策
盗難を防ぐには、盗難をしようとしても無駄ですよ、しようとすると苦労しますよ、と思わせることが重要です。それには防御システムを搭載しているステッカーを貼るとか、見た目でわかる物理的なロック機構を後付けすることです。
最近は標準装備となっているイモビライザーは最低限必須ですが、これだけではハイテクな手口に対応できませんので後付け対策品が必要です。
具体的には、キーの電波の遮断、防犯アラーム、セキュリティーライト、追跡装置の装着、ハンドルロック、ホイールロックなどです。
キーの電波を遮断するケースは、キーから発する電波を極小にしますので、スマートアタックを防ぐ手段になります。箱のタイプとカバータイプが主流のようです。
防犯アラームはクルマの振動を検知してアラーム音を発する機器です。標準装備されているクルマもありますね。
セキュリティーライトは人感でライトを点灯する機器です。夜間のみ有効で、アラームほど抑止効果はありませんが、気楽に使えるので併用するのがよいと思われます。
追跡装置はGPSを用いて盗難された車両を追いかけるための機器です。これ自体に抑止効果はありませんが、これを装着していることをアピールすることで抑止効果を生みます。
ハンドルロックは物理的にハンドルを回せないようにする機器です。とんでもない窃盗犯はこれを付けてもハンドルの付け根を破壊してしまうそうですが、それなりに手間が掛かりますし音も出るでしょうから、抑止効果はあるでしょう。普通は目立つ色で装着をアピールしています。当然乗り降りする時に解除施錠を繰り返しますから、自分が鍵を失くしたり、ダイヤル式なら番号を忘れないようにしましょう。
ホイールロックはホイールに噛ませることでタイヤの回転を抑止するものです。これも破る窃盗犯はいるでしょうが、やはり手間を掛けさせることで抑止効果を生みます。ただ、乗り降りの度に装着するのは所有者自身も手間にはなりますね。
ステッカーは気休めかもしれませんが、価格も安いので他の機器と併用しやすいのがいいですね。
この他、燃料をエンジンに行かせないように遮断する方法もあります。窃盗犯が様々な壁を強行突破しても、エンジンが掛からないため諦めざるを得なくなります。これで盗難されなかったGT-Rの記事を見ました。これは防犯装置の装着というより改造に近く、また解除スイッチが窃盗犯にバレないよう隠す必要もあります。
余談ですが、窃盗犯が途中で盗難を諦めた場合、車内に消火器を噴霧するそうです。指紋など消すためだそうです。これをやられると、クルマが残っても復旧させるのが非常に困難になるらしいです。ほんとに困った輩ですね。
おわりに
クルマの窃盗犯は、どうしても手に入れたいと思うとどんな防犯対策も乗り越えて盗もうとするようです。なのでクルマの盗難に遭わないためには、セキュリティー面のしっかりした保管場所を選ぶこと、犯人に盗難するのが面倒なクルマと思わせること、実際に効果のある防犯装置を複数装着すること、など多重に防犯を施すことが重要だと思います。防犯の手間と盗難し易さは背反しますので、普段の面倒を受け入れて備えるしかありませんね。