ちょっと前よりは一般化しつつある、という印象になってきた「プラントベースフード」という言葉。様々な場面で聞く機会が増えていると思います。
これについて、プラントベースフードアドバイザーでもある私が説明してみようと思います。
そもそも、プラントベースフードって何?
言ってしまえば、英語表記の plant based food です。あえて日本語表記すると植物由来食物ですね。肉類、動物性油脂、乳製品などを使用していない、植物性の材料だけで出来た食物のことになります。野菜、果物、キノコ類、海藻、ナッツ類などの食材はもちろん、これらだけで作られた食品、例えば豆腐、豆乳、油揚げ、麺類、なども含まれます。
最近、この言葉をよく目にするようになった理由はいろいろあります。ヘルシー志向の高まりもありますが、実は動物性食物は単位面積あるいは単位エネルギー当たりの生産量が植物性食物に大きく劣ることがクローズアップされてきたからです。日本で普通に生活していますと、食料危機を身近に感じることはないかもしれませんが、地球規模で考えると人口増加に対応する必要な食糧確保は深刻な問題です。このことを広く知らしめたのは SDGsでもあります。先進国で肉を食べてると、発展途上国で食糧不足で栄養失調や餓死が起きると認識されてきたのです。そこで脱動物性食物が叫ばれ、植物性食物が注目を浴びるようになったわけです。
実は動物性食物を食べない人たちにも多様な種類があり、大きくは、1.信条として食べない、2.信仰上の理由で食べない、3.健康上の理由で食べない、4.環境上の理由で食べない、などあり、それぞれの中にも多様な種類があります。そんな中で最近注目されてきたヴィーガンは1.にあたり、イスラムのハラルや仏教の精進料理は2.にあたります。同じく動物性食物を避けるといっても、理由が違うために避ける食品も微妙に違います。私個人はいずれにも該当せず、単に子供の頃から肉嫌いだったというだけだったりします。
このように様々な理由で動物性食物を避ける人たちがいるのですが、プラントベースフードと言った場合は理由や主義主張と関わりなく植物性食物全般を指すと思って頂いて構いません。ある意味便利な言葉なんですね。
プラントベースフードって結局何すればいいの?
そんなわけで、ヴィーガンになる、ベジタリンになる、マクロビをやる、というような方でない限り、プラントベースフードをゆるく捉えてもらっていいのです。植物由来の食物をもっと知ってもらい、その魅力を食生活の中に自由に組み入れてもらうことがプラントベースフードアドバイザーの目指すところでもあります。週一回プラントベースフードの日を設ける、でもいいのです。その人のやり方でプラントベースフードを楽しんで頂ければいいんです。
プラントベースフードの一例として代替肉をあげましょう。動物の肉に代わる植物性食品です。ちょっと前に大豆ミートを試した方なら、あれはないとおっしゃる方もいるかもしれませんね(笑)。確かに以前の大豆ミートは食べ物としておいしくなかったし、調理しても、まさに煮ても焼いても食えない感がありました。
しかし、代替肉も日々進化しています。大豆ミートも以前よりはましになりましたし、大豆ミート以外の代替肉は調理次第でかなり肉に近づきつつあります。肉嫌いの私からすれば、無理に肉に似せんでいいのにと思いますが、肉を我慢してでも肉らしい食品を食べたい人もいるのですね。こうした食品を肉の代わりに利用することで、カロリーはたいぶ押さえられヘルシーになります。
そんな代替肉とその加工食品の一例を挙げておきますね。
残念な点は、こうした代替肉はまだ本物の肉より割高になってしまうことと、一般のスーパーで売られている代替ハンバーグや代替ミートボールなどは混ぜ物が多いことです。専門のプラントベースフード販売店やヴィーガン食料品店では高品質な代替肉が手に入りますが、どうしても高くつきます。プラントベースフード普及の過渡期では、このような問題は仕方ないのかもしれませんね。
プラントベースフードの購入先
プラントベースフードとは野菜や果物そのものでもあるわけですから、普通に買えますよね。
プラントベースの加工食品についても、今では一般のスーパーマーケットでも、代替肉コーナーやプラントベースコーナーが置かれるようになってきました。しかし、品揃えの点では満足のいくものではないお店が多いようで、やはり専門店には適いません。
検索すればいろいろ出てきますので、これはと思うお店を選べばよいと思いますが、私が実際に利用しているサイトを紹介しておきます。
Vegewell というサイトで、プラントベースフードを提供するレストランを種類別に検索できたり、プラントベースフードに関する最新トピックを紹介したりもしています。そしてこのサイト内にある Good Good Mart で加工品のプラントベースフードを購入しています。特にお勧めなのが、プラントベース月替りBOX【定期便】です。これは毎月様々なプラントベースフードをお店が選んでパッキングして届けてくれるもので、自分では選ばないであろうものも入っていたりしますが、逆にお陰で思わぬフードに出会う切っ掛けにもなっています。
何を選んでいいかわからないけど、いろいろ試したいな、という方に特にお勧めです。
食生活へのプラントベースフードの取り入れ方
もちろん代替肉はプラントベースフードの一部でしかなく、野菜だけ食べてもプラントベースフードなわけです。プラントベースフードをどのように食生活に取り入れるかは、ほんとに人それぞれでいいと思ってます。がっつり動物性食物を排除したいと思ったらヴィーガンのような生き方もありますし、ライトに取り入れたければ、先に紹介したように、週一回プラントベースフードの日を作るとか、毎食一品はプラントベースフードにするとかでもいいわけです。また野菜や果物の摂取をより多くすることを心掛けるでもいいですし、肉の代わりに代替肉を使ってみるとか、牛乳の代わりに豆乳をはじめとするプラントベースミルクにするとかでもいいのです。何ら決まりも縛りもないので、好きなようにプラントベースフードを楽しんで頂ければいいなと思います。
ちなみに私の場合は、肉を食べたくないので料理には使いませんが、魚介や乳製品は食べます。動物性食品の代替食品は興味で使ってみますが、定期的に食生活に取り入れるまではしていません。私のような人のことをペスコベジタリアンと呼ぶそうです。
もしプラントベースフードに興味を持って頂けたなら
もしプラントベースフードのことをもっと学んでみたいと思われたなら、植物性料理研究家協会で学ばれることをお薦めします。きっと新しい世界が開けと思います。
協会では学びの講座の他に、一般の方が参加できるプラントベースフードのイベントも開催していますので、お気軽に参加してみて下さい。これまでも精進料理の銘店を貸し切っての解説付き食事会や、ロースィーツの試食会などが複数回行われています。私も都度参加しておりますが、毎回発見があり、なおかつ楽しく美味しいイベントです。